Autumn
パンくずでいいのよ。なにも鳥用のエサを買わなくたって。そんなことをしていたらお金がかかって結局続けられなくなっちゃうもの。
そう言ってしのぶさんは、パンくずをまく。しのぶさんの周りには水鳥がエサを求めて集まってくる。そうするとしのぶさんは嬉しそうに、ほら見て、因幡さん、集まってきたわよ、と笑う。ぼくは集まってきた水鳥を見る予定だったのに、ぼくの視界を占めるはいつも通り、ただ一人の少女の姿。しのぶさんの肩に足下に、はばたき集まる鳥たちとそのにぎやかな鳴き声は、しのぶさんを彩る秋の景色。
(二代目top絵)