仕事帰りの誰かが、帰り道に素人くさいアットホームなイルミネーションを見て、新宿やら六本木やらの豪勢なイルミーネションを思い出す。そして頬を緩めて家族の笑顔を思い浮かべる。
　誰かのパパは鞄に入りきらなかったキディランドの袋に入ったプレゼントを左手に提げて、あいつはもう寝ちゃったかなぁ、起きてたらどうやって隠そうか、なんて計画を練る。恋人と会う予定の消えた自宅通勤のOLは、別に都心の駅前にある特大ツリーじゃなくったってクリスマスカラーは綺麗なのよね、そうよ、だいたいクリスマスってのは欧米では家族で祝うものであって誰が恋人同士のものだなんて言ったの、なんて自分を慰める。

　もしかしたら、もしかしたらそんなふうに誰かが、なんて思う。クリスマスだから。誰かがサンタクロースになる。サンタクロースのためのサンタクロースだって勿論いるんだ。誰にとっても今日はクリスマスだから。

　ドラマやCMのような売り物みたいなあったか家族を連想させる飾り付けをしてやろう。