麻理江は今でもこの置物を持っているだろうか。

 去年の京都への修学旅行、バスターミナルのお土産ショップでお揃いで買った。あたしは赤、麻理江は山吹色の。
 京都じゃなくたって買えそうだよね、でも可愛いよね、綺麗だよね、旅行先ってなぜだかこういうの欲しくなっちゃうよねって、あたしも麻理江もはしゃいでて、お揃いで買おうかって麻理江が提案した。
 誰かといるとき無理に調子を合わせて、欲しくもないのに買わざるをえないっていう、そんな馬鹿みたいな状況ではなかったと記憶しているけれど、あたしの部屋の隅に忘れられていたこの細工は、黄色い蛍光灯の下ではあまり魅力的に見えないでいた。

 今日はこいつをクリスマスの飾りに加えてやろう。山吹色を選ばなくてよかった。赤い和風の花がポインセチアに見えないこともない。


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